株式会社クボタは、1890年の創業から130年の歴史を誇る、グローバル企業です。主に農機やエンジンの製造をはじめ、食料、水、環境に関わる製品を手がけています。
「For Earth, For Life」をブランドステートメントに掲げ、世界各国にビジネス拠点を展開しています。
今回は、株式会社クボタの農機海外サービス部に所属する方にお話を伺いました。
目的 | 教育・研修の習熟度アップ |
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用途 | 研修VRコンテンツ編集(動画/静止画) |
業種 | 製造業 |
会社名 | 株式会社クボタ |
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所在地 | 大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号(本社) |
事業内容 | 農業機械 及び 農業関連商品、エンジン、建設機械の製造 及び 販売 パイプインフラ関連製品、環境関連製品の製造 及び 販売 |
URL | https://www.kubota.co.jp/ |
導入のきっかけは「気軽に簡単に制作できてデバイス問わず閲覧できるVRコンテンツ」
– 本日は、研修VRを活用いただいている株式会社クボタさんにインタビューをお受けいただきました。まずは会社紹介と、部署のご紹介をお願いいたします。
クボタ様:
株式会社クボタは、産業機械や鉄管、水道管などの製品や、産業用エンジンを開発、製造及び販売をしている総合企業です。
私たちの所属する農機海外サービス部は海外向け農業機械(以下農機)を取り扱っている部署で、農機の修理マニュアルや販売会社向けの製品研修を行っています。
実際にVRを使っているのは私たち農機海外サービス部だけでなく、農機国内サービス部もスペースリーを活用しています。
– 2020年半ばからスペースリーを使い始めていただいていますが、その前からRICOH THETAなどの360度カメラも活用されていたとのこと。VRや360度カメラの活用を考え始めたきっかけは何ですか?
クボタ様:
私たちの部署ではもともと研修コンテンツを作るという業務がありまして、その中で、3D CADを使って製品をアニメーションにした研修コンテンツなどがあります。VRを作れたら、という話は2017年くらいから社内で出ていました。
ただ、CGでの製品アニメーション制作は高く、1つの機種を3DCGにするのに300〜800万円くらいかかります。また、制作にも非常に時間がかかるので、もう少し手軽にできないかなと考えていました。
調べてみたところ、自分たちで撮影してVRを作れるサービスがあることを知ることができ、クボタサービス部門のeラーニングシステムを提供していただいているサムトータル・システムズさん(※)に相談したところ、スペースリーさんを紹介していただきました。
※サムトータル・システムズ株式会社 https://www.sumtotalsystems.com/jp/solutions
– スペースリーを導入しようと決めていただいたポイントはどんなところでしたか?
クボタ様:
まず、VRを研修で使うサービスパッケージというものが他社にはなかったので、ニーズにフィットしていて「ちょうど良いな」と思いました。
「VRコンテンツをWEBで簡単に公開できます」という、アップロードだけのサービスは他社も色々ありましたが、スペースリーさんは「研修に使える」という事例が公開されていて、そこにも安心感がありました。
あとは、スペースリーさんのVR研修サービスでは「アップロードや公開に対する制限が少ない」のもポイントですね。
他社さんと比較している中で閲覧上限数という制限を設けるサービスが多い中、スペースリーさんはトライアルで作ったコンテンツや、仮に社内教育など部内でしか使わないものを作ったとしても追加費用が発生しない。そこもとても気に入っていますね。
あとは、ブラウザで見やすいというのもポイントになりました。
VRゴーグルで使うだけではなく、パソコンやスマホのブラウザで、デバイスがなくても360度コンテンツを認識して、多くの受講者に対して研修できるのがすごく良いですね。
– ありがとうございます。製造業の研修では、3D CADを使った研修コンテンツやアニメーションを付けたコンテンツというのは一般的なのですか?
クボタ様:
まだまだ一般的ではないです。3Dアニメーションコンテンツは高額なので。
最近はXVLデータ(※3Dモデルのデータ形式の1つ)をキャプチャして、写真やイラストの代わりにサービス資料に使用するというのはだいぶ一般的になりましたね。
VRコンテンツの内製化メリットは、低価格かつ短期間での運用体制構築
– スペースリーを導入する以前にも、VRでエンジンの解体・分解コンテンツを作っていたというお話を伺いました。
クボタ様:
エンジンを分解する3Dアニメーションを作ったのですが、結局外注した結果、製作費が高く、製作する日数がかかってしまいました。
実際、3Dアニメーションを作るとなると、何百万円という高額の予算稟議を申請しないといけないので、稟議が承認されるまでに非常に時間がかかります。そこから業者を決めて依頼することになるので、軽く1年以上、時間が必要となります。
また、実際に作るとなると、業者さんへの製品の3Dデータの提供から業者さんとの技術的な情報提供などのやり取りや細かい作り込みに至るまで作業工程も多くなり、修正する手間などの時間もより多く発生することになります。
本当は、研修コンテンツというのは公開までの期間を短くしたいものなのです。
スペースリーで撮影した研修コンテンツは、撮ったらすぐにアップして、すぐに使い始められますよね。また、研修コンテンツの内容修正も自分たちで簡単にできます。そこは本当にすごいメリットだと思っています。
– VRコンテンツの外注対応は、確かに時間がかかるとよく聞きます。外注、自作を含めさまざまな研修コンテンツを制作されると思うのですが、現在、コンテンツの企画運営体制はどのようになっていますか?
クボタ様:
私たちはLMS(Learning Management System:学習管理システム)を担当し、実際に社内でコンテンツを作る担当者の方々に「こういうコンテンツを作るツールがありますよ」という情報をお伝えしてサポートする役割です。具体的に、その中にスペースリーさんのVRがあって「こういう形で作れますよ、使ってみてください」という紹介をする。
VRコンテンツをどういう風に作るかという企画の立案は、実は私たちはやっていなくて、研修コンテンツを作る人たちをサポートするような形ですね。私たちがサンプルのコンテンツを作って「このツールを使えばこういう風に見せることができますよ」と理解をしてもらうというやり方で取り組んでいます。
その結果、スペースリーのVRに関しては、社内への認知は大分進んだと思います。
– 社内エバンジェリストというべきか、お二人はツールの使い方を社内に浸透させる役割なんですね。
クボタ様:
良い言い方をしていただくと、そういうことですね。
農業機械の販売会社向けにVRを配信 5,000名にセールスポイントをレクチャー
– VRと相性がいい研修コンテンツには、どんなものがありますか?
クボタ様:
フォークリフトや農業機械などの運転研修コンテンツなどは、VRと相性が良いと思いました。
運転している時は前だけ見るわけじゃなくて、横や後ろなど見なければならない方向が多いので、360度映るVRとは相性が良いですね。
タッチパネルの操作や、手元の機材作業もありますし、運転中も意外と細かい作業が多くあります。VRコンテンツでそこを見せたかったのですが、カメラの位置などが難しくて最初は苦戦しました。
あとは、逆に相性が悪かった例で言うと、農業機械が森の中を駆け抜けるコンテンツで、360度カメラを取り付けて撮影してみたら振動による揺れがすごくて、酔ってしまったり。試行錯誤しながらコンテンツを作っています。
– Go ProやInsta360などの揺れに強いアクションカムタイプのものもあるので、360度動画を活用する場合はぜひそういう機材も検討してみてください!
現在、実際に活用されているVRコンテンツについてお聞きしたいのですが、どんなコンテンツをどのように活用されているのでしょうか?
クボタ様:
国内販売会社のスタッフ向けに「この農機にはこういうセールスポイントがあります」という説明をする資料があるのですが、その中に農機のキャビン(運転席)に座って中がどうなっているかを見渡せるVRコンテンツをQRコードで資料掲載しています。
この資料は5000名くらいに配信していて、配信後に制作担当者から「またVRを使いたい」という声もありましたので、現場サイドでは評判がいいですよ。
– LMSを使ってVR研修コンテンツを配信しているという話も伺っていますが、そちらではどんなコンテンツを使っていらっしゃるのですか?
クボタ様:
サムトータルというLMSを活用して、作業体験のVR動画コンテンツを配信しました。
農機の販売会社の方への製品研修のために、作業体験を教えるコンテンツです。
リアルで研修をするにしても、農機での作業体験は場所が限定されますし、雨が降ったらできないなどの天候制限もあります。貴重な機会なので、動画だけじゃ伝わりづらい部分をしっかり伝える術が欲しかったのです。
そのため、360度カメラで撮影して、研修コンテンツとして活用しています。
– これまで研修コンテンツの企画・制作をされる中で、特に苦労した点などはありますか?
クボタ様:
私たちも「360度」という性質が実際にどんな研修コンテンツに適応できるか、未だに模索しています。
「カメラを中心に外部を写す」というコンテンツには、スペースリーで制作できるようなパノラマコンテンツはすごく適していると思うのですが、僕らの発想では農機が主役です。
どうしても「農業機械があって、それを周りから見る」という考えになってしまうので、パノラマの特性をどうやってうまく使えるか、考えながら制作をしている形ですね。
カメラをどこに置いて、どう固定したらいいかという部分から模索しています。フロントパネルのボタンやハンドルレバーも見せたいし、後ろに作業機をつけることが多いので後ろがどういう作業をしているのかも映らなければならない。
どう撮影したら上手に映るのか、試行錯誤しているところです。
– どのアングル、ポイントで撮影するかというのは、VRコンテンツ撮影ではとても重要ですね。ぜひ今後も弊社からサポートしていければと思います。
「見れば分かる」VR研修を海外展開も LMSでボーダーレスに
– 今後、スペースリーに期待することはありますか?
クボタ様:
すでにスペースリーのカスタマーサクセス担当の方とも何度かお話しさせていただいていますが、3Dモデルの部品をVRコンテンツ上で回転させて見せるというサービスを開発して欲しいとお伝えしています。
研究開発部や製造系では、油圧の構造を勉強させるのに油圧バルブを3Dで見せたい、トランスミッションを回転させて見せたい、などの需要が結構あります。
今までは写真でしか部品を見せられなかったのですが、3Dの部品を受講者たちが自分で回転させて見られるようになると、より習熟度の高いコンテンツを制作することができます。
それをスペースリーのサービス内で出来るようになると、VR研修コンテンツとしてはすごく使いやすくなると思っています。 スペースリーにこの機能がついたら、完璧ですね(笑)。
– ぜひ実現のために検討させていただきます! 現在のスペースリーは、カメラを中心にまわりの景色を写すパノラマコンテンツが多いですが、「中心にあるものをまわりから眺められる」というコンテンツは、製造業としての需要が高いのでしょうか?
クボタ様:
製造系にはそういう需要は一定数あると思います。製品を360度様々な角度から眺めたいとか。
3D CADのモデルデータを用意して取り込むパターンのサービスは見かけますが、3Dモデルはメーカーでも全て揃えていることは少ないと思います。
VRじゃなくて写真を合成しているようなコンテンツは存在するようですが、やはりスペースリーくらい簡単に綺麗なデータを作れるのが一番いいと思うのです。3Dコンテンツを回転させられる機能、お待ちしています!
– 今後のVR研修コンテンツの活用展望や、展開の予定を教えてください。
クボタ様:
弊社のLMSは、国内研修も海外研修にも同じシステムを使っているので、国内向けに作ったものをいずれ海外研修にも展開していこうと考えています。
元々、VR研修コンテンツは海外向けの展開を考えて導入しています。国内なら新製品ができたらすぐに見てもらったり触ったりできますが、海外向けの新製品だと輸送にも時間がかかるし、言葉の問題もある。購入するまで特徴が伝わらなかったりした部分も、VR研修コンテンツがあれば「見れば分かる」ので、ぜひ海外には研修コンテンツとして展開したいです。
– 海外への配信に向けても、ぜひサポートさせていただけたらと思います。貴重なお話をありがとうございました!
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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