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不動産売買

【トップインタビュー】SREホールディングス株式会社 執行役員 不動産流通部門 部門長 東 毅憲氏


急成長する不動産企業のトップにインタビューしてその秘訣を伺う連載企画です。


第2回目は、2021年6月に経済産業省と東京証券取引所より「DX銘柄2021」、及び、”デジタル時代を先導する企業”として、全上場企業約3,700社から2社のみ選定された「DXグランプリ2021」を受賞したSREホールディングス株式会社 執行役員 不動産流通部門 部門長 東 毅憲氏です。企業成長の秘訣や不動産DX、今後のサービス展開についてお話を伺いました。



目的 DX推進
用途 DX推進
業種 不動産売買仲介業 その他


会社名 SREホールディングス株式会社
所在地 東京都港区赤坂1-8-1 赤坂インターシティAIR 14階
事業内容 不動産テック事業、AIクラウド&コンサルティング事業
URL https://sre-group.co.jp/



接客において『顧客満足度日本一』を目指す


Q)これまでのご経歴とSREホールディングス株式会社に入社されてからの役割をお教えください。


不動産事業本部 不動産流通部門(売買仲介・PM)の責任者の東 毅憲と申します。


大学卒業後、アパレル企業に入社して販売スタッフから、店長、仕入、MDを経験してきました。幅広い業務を担当する中で、現場が好きで販売員としてお客様に非日常感を演出し、提案すること喜んでいただくことにやりがいを感じていました。アパレルの仕事は好きでしたが、お客様の人生により深く関われる衣食住の住まいの提案ができる不動産業に興味を持ち、東京オリンピックの開催等で、都心が盛り上がっているタイミングで、港区のフランチャイズ系の不動産会社へ転職しました。


不動産仲介会社1社目では、売買仲介営業として購入のお手伝いを中心に活動していましたが、都心で活動をしていたこともあり囲い込みが多く、物件をなかなか紹介させてもらえない経験をしました。その時に出会ったのがエージェント制を採用し、片手取引にて売却の不動産情報をオープンにしているソニー不動産(当時の名称。現在のSREホールディングス)でした。実際にソニー不動産と取引をすることで、エンドユーザーにとって、こういう不動産会社が世の中にあるべきだし、業界を変えていくだろうと思ったのが、ソニー不動産への転職を考えるきっかけとなりました。


いち営業(以下、営業職は「エージェント」と表記)としてSREホールディングスに入社後、1年目・2年目と連続で社長賞(社内MVP)をいただきました。当社では、営業成績を達成することはもちろん、本業である営業以外においても実績をあげること、つまり一人二役がMVPの獲得につながります。入社後3ヶ月で会社説明会に登壇して、当社の良さをアピールすることや、リファラル採用に力を入れて、採用人数を増やすなどの貢献を認めていただき、表彰されたのだと思います。


その後は、チーム長(4名前後)、統括課長(8名前後)、グループ長(20名前後)、統括部長(40名前後)とマネジメントするメンバーの人数は増えていき、いまは部門長(80名前後)を担当させていただいております。部門長となった今もメンバー研修を兼ねて現場に行きます。現場感は磨かれますし、チームの成長も見守ることができます。

 


Q)貴社の「エージェント制度」の特徴をお教えください。また、「売却につながる」「サービスの先進性」「知人に紹介したい」3つのNo.1を取られていますが、お客様への対応で大切にされていることもお話ください。


「エージェント制度」は私が入社を決めた理由でもあります。 SREホールディングスではエージェント制を採用することで、売主様担当・買主様担当として、担当は顧客目線を持ってそれぞれに向き合うことができます。例えば、売主様の立場で物件情報を広くオープンにしています。
お客様への対応で大切にしていることは「エージェントの品質」と「エージェントとしてのあり方」です。


「エージェントの品質」は、マナー、知識、接客力を向上させるために「レディネス」という試験を設けています。当社は、新卒も中途も、エージェントデビューするためには試験に合格しなければなりません。SREホールディングスの理念やビジネスモデルの理解、開発するAI査定を適切に活用した査定ができているか、などの試験を行います。代表である西山がソニー出身であり、品質管理を重視してきた企業文化をエージェントにも適用して、(エージェントの)品質を重視するという考えのもとスタートした制度です。

 

SREホールディングス株式会社 執行役員 不動産流通部門 部門長 東毅憲氏

また「お客様目線」を大切にしており、当社では「エージェントポリシー」と呼んでいます。SREホールディングスは接客において「顧客満足度日本一」を目指そうというスローガンを掲げていますので、「お客様の期待を超えるサービス、感動が生まれるサービスとは何か?」をテーマに勉強会を設け、バズセッションを行っています。


例えば、期待を超えるサービスのエピソードでは、お客様から売却案件をお預かりした際に写真を撮らせていただきます。多くの不動産会社はプロカメラマンに依頼をして、撮影をされます。私どもはエージェントが撮影の研修を受けており、高い撮影スキルを持っているため、各エージェントが撮影できます。その際に居住物件をお客様と一緒に片づけたり、掃除をしたり、汗をかきながら資産価値を最大化するための方法を考えて撮影を行います。お部屋の片づけまでしてくれる不動産会社は少ないため、喜んでいただき、信頼を得ることができます。


お客様との信頼関係が構築されれば、お客様の物件を自身の住まいのように大切に思えます。この部屋をこういったレイアウトにしたら、このようなターゲットの方が興味を持ってくれるのではないか、その際の案内をこうしたら響くのではないかのようなお話しをしながら、売却活動をお客様と2人3脚で楽しみながら取り組んでいます。


こういったエピソードを出し合うのがバズセッションの場です。ベテランも新卒も、お互いの意見を出し合い、否定せず尊重し合いながら、新しい気付きやノウハウをエージェントの品質向上につなげています。バズセッションは一例ですが、「顧客満足日本一」を実現するための試験やノウハウ・エピソード共有の機会を定期的に行い、フィードバックし合える環境によって、「売却につながる」「サービスの先進性」「知人に紹介したい」の3つのNo.1を獲得できたのだと思います。


Q)感動が生まれるサービスとは何かを学び、共有し合う勉強会は素晴らしいですね。東様がこれまで担当されたお取引の中で印象に残っているエピソードをお話ください。


たくさんありまして、1つに絞ることは難しいですね。
金額は控えますが、他社様の1.3倍の査定額で売却したこともありますし、建物価値はなく土地値だけで安く売らざるを得ないと判断された物件を、建物の構造を活かして高値で売る方法を考えたり、一年以上売却活動を行っても売れなかった物件を当社に切り替えていただいたことで、わずか1週間で売却ができたりと、1つ1つの経験がとても印象深く残っています。


いずれも心がけていたのは「エージェント」として、お客様に寄り添いながら、お客様の期待を超える提案を行ってきた結果として、高値売却を実現しました。お客様もとても感謝してくださり、ご友人を紹介いただくことがとても多いです。思い出に残っているエピソードばかりですね。

 


半年に1度、全メンバーと1on1を実施。現場の課題や要望を即改善につなげる


Q)部門長に就任されてエージェントの生産性が新卒も含めて昨年度1年間で向上した115%と聞きました。どのようなことをされたのでしょうか?


生産性向上の1番の理由はチームメンバーのおかげです。『SRE AI査定CLOUD』を始めとする生産性向上ツールを積極的に活用していますが、その目的は業務を軽減することではありません。一人ひとりのエージェントが「顧客満足度日本一」を意識しており、デジタルツールを活用して、どうすればお客様への対応により注力できるかを自発的に考え、改善点を出し合っています。115%はその結果だと思っています。


それを踏まえて、私が実行したことは、現場の課題や要望、変化を素早くキャッチアップするために1on1を全員と行いました。約70名のチームですが、今も半年に1回行い、全員の話を聞いています。そこではNGなし、本音で話をしてもらいます。1on1は多くの気付きを与えてくれます。


例えば、営業実績がなかなか振るわないメンバーがいました。話を聞いてみるとバックヤードのほうが適していることがわかり、ミッションを変更しました。その結果、バックヤードの効率が上がり、エージェントの生産性も向上しました。この分業は一例にすぎませんが、1on1を通して、エージェントの課題や状況を把握して素早く実践していくことで、チーム改善のスピードも早くなり、生産性の向上につながっていきます。

 

SREホールディングス株式会社 執行役員 不動産流通部門 部門長 東毅憲氏

また、採用にも力を入れており、面接には必ず参加しています。応募された方が、不動産業において本当にお客様の役に立ちたいと思っているのか、当社はスピード感が求められる企業ですが、そのような環境を本当に望まれているのかをヒアリングしています。内定をお伝えする際にも「顧客満足度日本一」を目指す気持ちがあるかを確認させていただき、自信を持って「YES」と言える方だけを採用しています。


当社には「両追者」というオリジナルの言葉が社内の行動規範としてありますが、これは「会社の事業利益」と「お客様の満足度」の両方を追及することを意味します。実践してみると、とても難しいです。どちらかに偏ってしまうことも多く見受けられます。だからこそ、お客様の満足度の先に利益があると伝えるようにしています。


他にも、表彰制度も工夫をしており、特に公平性を重視しています。営業実績を上げた方だけでなく、顧客満足度にフォーカスした「CS賞」、社内の顧客満足度を対象とした「スタッフ賞」、これはエージェントのアシスタントがどれだけエージェントに貢献したかをアンケート制で選んでいます。このように各部署のスタッフが表彰される機会を設けています。半年に1度行っていますが、表彰されるために頑張ろうと思ってくれているようです。

 


DX推進の成功理由は「顧客満足度日本一」実現のため


Q)貴社は国内で1年に2社しか選ばれない「DXグランプリ2021」を受賞されています。DX推進が成功された理由をお教えください。


DX推進の成功理由は、会社側の評価方法が大きく関係しています。昨今はAI技術の進化により、上手く活用することで現場の業務を劇的に改善できます。同時に、業務の変化も速くなりますので、メンバーは必然的に変化に対して柔軟な対応が求められます。柔軟に対応をするスタッフほど生産性を上げています。
そのため、会社としても変化に適応できる人材が評価されるとメッセージを発信していますので、チームでDXを推進していこうという気運が高まります。


また、新しいことへのチャレンジは率先して行っていこうとするメンバーが多いのも成功の理由です。ベンチャー気質を備えたメンバーばかりで、当社に転職された方からは「変化に前向き」「チャレンジ精神があり活気的」と言っていただけます。


さらに、不動産仲介などのリアルビジネスを行っていることも理由に挙げられます。例えば、『SRE AI査定CLOUD』がリリースされてから数年経ちますが、活用するなかで現場で感じる課題を社内エンジニアに伝えて、アップデートを繰り返しています。当社は片手取引のみのため、売上を伸ばすためには、他社様の倍の営業活動を行わなければなりません。生産性を上げつつ、「顧客満足度日本一」を実現するために必要なものは何かを常に考えています。


現在は、『SRE AI査定CLOUD』以外にも『SRE 契約重説CLOUD』『SRE マーケティングCLOUD』なども展開していますが、日頃よりこれらのツールが生産性向上につながり、エージェントがお客様への対応業務に力を注げるようになっているのかのPDCAを回し続けることが、DX推進の成功に寄与したのかもしれません。


余談ですが、『SRE AI査定CLOUD』と『SRE 契約重説CLOUD』は外販もしています。本当は自社だけで使いたい気持ちもあるのですが、敢えて外販することで少しでも不動産業界の生産性向上に貢献するのであれば、より多くの方に使っていただくべきだという考えです。過去には、一括査定経由のお客様を訪問したら、他社と査定書のデザインが同じで困ったこともあるのですが(笑)、今はデザインも変えられるので、各社様オリジナルの査定書が作成できます。このように現場の声を反映して、製品の改善を続けていることが受賞につながったのだと思います。

 


選ばれるのは「お客様目線」を大切にするエージェントや企業


Q)今後の不動産業界についてどのようにお考えですか?


企業に属さないエージェントの方が出てきたり、個々のエージェントをまとめるプラットフォーム企業なども出てきているので、多様化が進むのではないかと思います。特に個人でやられているエージェントの方はスキルをお持ちなので、競争は激化すると考えます。


ですが、多くのプレイヤーが参入しても、最後に選ばれるのは「お客様目線」を大切にしているエージェントや企業だと思います。SREホールディングスは企業として「顧客満足度日本一」を目標としています。チームメンバーの一人ひとりが、お互いを称えあいながら、サービスをより良くして、チームとして「顧客満足度日本一」を獲得できることがベストだと思います。チームのほうが不動産業界への影響力も高まります。


また、新卒の存在も重要です。プラットフォーム企業で経験値のある方だけがお客様に選ばれる時代になってしまうと、新卒が不動産業界に入ってきても選ばれなくなってしまい、業界が画一化してしまう恐れがあります。やはり新卒が入ってくれることで組織や業界が活性化されます。今後、SREホールディングスが不動産業界のアカデミーのような存在になって、「顧客満足度日本一」を実現する人材を多く輩出できることを目指したいなと思っています。

 

SREホールディングス株式会社 執行役員 不動産流通部門 部門長 東 毅憲氏 
インタビュアー:株式会社スペースリー COO 中嶋 雅宏 / アカウントエグゼクティブ 吉崎 太一

会社概要:


SREホールディングス株式会社はリアルビジネスである不動産事業を自ら手掛けることでその知見とデータを蓄積するとともに、そのオペレーションをスマート化する過程で実務有用性を磨き込んだAIソリューション・ツールを不動産/金融業界等に提供しております。SaaS型クラウドサービスである「SRE AI査定CLOUD」や「SRE 契約重説CLOUD」の提供を行うなど、AI/IT技術を活用し、様々な業界における業務支援や課題解決に取り組んでおります。
社内外のDXを有機的に結び付けて推進する取組みが認められ、2021年6月に経済産業省と東京証券取引所より「DX銘柄2021」、及び、”デジタル時代を先導する企業”として、全上場企業約3,700社から2社のみ選定された「DXグランプリ2021」を受賞しました。



最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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