フジテック株式会社は、エレベーター・エスカレーター・動く歩道を取り扱う、都市空間移動システムの専業メーカーです。
徹底した品質管理のもと、研究・開発から販売、生産、据付、保守、そしてリニューアルまで、一貫体制で “安全・安心” な移動を実現。世界の都市機能の発展に貢献します。
今回は、フジテック株式会社の人材開発本部 フィールド研修部の方にお話を伺いました。
目的 | 教育・研修の習熟度アップ |
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用途 | 研修VRコンテンツ編集(動画/静止画) |
業種 | 製造業 |
会社名 | フジテック株式会社 |
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所在地 | 滋賀県彦根市宮田町591-1(本社) |
事業内容 | エレベーター、エスカレーター、動く歩道の研究開発・製造・販売・据付・保守 |
URL | https://www.fujitec.co.jp/ |
資料をVR化 感覚的な作業を様々な画角で伝える
– 本日はよろしくお願いいたします。まずは、人材開発本部 フィールド研修部様の業務紹介をお願いします。
フジテック様:
人材開発本部 フィールド研修部では、エレベーター・エスカレーターの据付やメンテナンス、エレベーター・エスカレーター工事現場の仲介など、主にフィールド向けのスタッフを育成するための研修を行う部門です。入社年度に応じた階層別の研修や、様々な目的に応じたケース別の研修を行っています。
– VRを導入したきっかけはどのようなものでしたか?
フジテック様:
以前より、VRゴーグルを使って3DのフルCGタイプの安全研修を行っていました。
しかし、3DのフルCGでは資料を作るまでのハードルが高いので、自分たちで作れるVRツールを探していたところ、スペースリーの提案があったという経緯です。
研修では、紙の資料や動画の資料のみで行う研修と、エレベーター・エスカレーターの実機で確認する研修の大きく分けて二つあります。
紙、動画、実機の間を補う研修コンテンツとして、VRが適していると思いました。
– VRシステムの中でもスペースリーを選んでいただいたポイントはどこでしたか?
フジテック様:
様々なツールを比較の上、スペースリーに決めましたが、理由としては大きく4つになります。
1. ヘルプ情報やスタッフのサポートがしっかりしている
2. 編集画面が直感的でわかりやすい
3. VR編集に高機能なパソコンが不要
4. VRゴーグルだけではなくPCやスマホでも利用が可能
特に4つ目がポイントでした。VRゴーグルは最近値段も下がってきて購入しやすくなってはいますが、研修時に準備の手間がかかってしまう部分もあるので、PCやスマホで閲覧できるというのは利便性の点でメリットが大きかったです。もちろんVRゴーグルの方が臨場感はあるのですが…。
– 通常の動画と比較して、VRの利点はどんなところだと思いますか?
フジテック様:
空間の感覚が把握しやすいことですね。
エレベーターの機械室や塔(昇降路)の中は、狭い空間で周囲に様々な機器が設置されています。そのため、一定の画角だけでなく振り返った映像もほしい時にVR(360度動画)とは相性が良いと思います。
また、スペースリーのVRであれば、研修用途として、チェックポイントなどを設けられるので、静止画やちょっとした説明、動画も入れられますし、テスト問題も入れることができます。
動画の方が詳しく作れるかもしれませんが、少しでも長くなってしまうと、見る側からしたら敷居が高くなってしまいます。
VRはより短時間でちょっとした時間に、ゲーム感覚で研修に臨めるところが良いと考えています。
– 従来の資料について、研修生から改善要望などはあったのでしょうか?
フジテック様:
従来のテキストベースの資料では、「感覚的な部分がわかりにくい」という声はありました。
感覚的というのは、メンテナンスや据付の作業では、実際に見たり触ったりしないと伝わりにくい五感を働かせることが多く、そのような部分を理解させるには、動画やVRの方が伝えやすいです。
認定試験の合格者率が2倍以上に大幅向上 VRマニュアルの予習効果
– 現在は、マニュアルのどの部分をVR化されているのでしょうか?
フジテック様:
現在、メンテナンスに特化したVRコンテンツを作成して運用しています。
メンテナンス向けのマニュアルの項目は、かなりの量がありますので、現在VR化しているのは、最重要な部分のみです。
将来的な目標としては、重要項目を優先して、全てをVRで網羅していこうと考えています。
当社では保守点検責任者の社内認定制度を設けています。点検責任者の認定を受けるためには、所定の年数、先輩社員の作業を補助し、その期間を経て実技試験を受けることになります。
社内試験の資料には、PDFマニュアルや動画がありますので、それで勉強をするのですが、やはり動画やPDFマニュアルだけでは、どうしても頭に入ってこないという課題がありました。
そのため、実際に実技試験を行うと、覚えていないことや知識不足があり、都度指導していました。
そこで、VRにしてみたらとっつきやすく、理解しやすくなるだろうと考えました。
現在、使用しているVRコンテンツは「これは絶対に覚えてほしい」と思うポイントの部分を強調して作っています。
VRコンテンツを提供することで、試験に臨む学習の姿勢がPDFマニュアルだけの頃とは変わったと感じています。それこそ、ゲーム感覚でVRコンテンツを使って学習している雰囲気というのでしょうか。
コンテンツの閲覧管理履歴を確認すると、予習的に何度も繰り返しコンテンツを見ている研修生も多かったです。楽しんで学習しているとも見えています。
閲覧管理履歴を確認することで、講師側が受講生の予習の状況を確認しやすいという点も良かったです。
– スペースリーを使ってみて、特に効果が出た部分はどんなところですか?
フジテック様:
VRコンテンツを利用した研修は数回しか実施できていないため、確実な効果としてお伝えはできませんが、社内認定制度の実技試験で合格率が2倍以上と大幅に上がりました。
また、研修の合間、休憩時間などに、実技試験の話をしてる人が増えたように感じます。研修の後に、VRを見ながら復習する人もいました。
– 研修を受けられた方の感想はいかがでしたか?
フジテック様:
導入当初は、試験を受ける特定の社員を対象に、限定的にコンテンツを公開していたのですが、受けた社員からは「全社的に行った方がいい」という声が多く上がりました。さらに、「とてもわかりやすい」と。
このような受験者たちの声を受けて、VRコンテンツの閲覧許可を全社に展開しました。
現地擬似体験のためにVRを展開予定
– 企画やコンテンツを作る上で、苦労したことはありましたか?
フジテック様:
コンテンツの制作中は操作方法や設定方法が分からない部分、動作がおかしな部分もありましたが、サポートの方に相談したらすぐに対応してくださって心強かったです。
– ありがとうございます! スペースリーでは、ユーザー様の制作が滞らないように迅速に対応するよう心がけております。
フジテック様:
撮影も、一旦撮っては画角や位置を変えての撮影の繰り返しで試行錯誤しました。「こういうシーンを撮りたい時はこうやった方がいいんだな」という、コツを積み重ねていく形でした。
– 研修が忙しい中で、マニュアルを作る時間をどのように工夫されていましたか?
フジテック様:
はじめに台本をしっかり作ったのが大きかったと思います。
「ここでこういう画像を出して、ここでこう解説を表示する」という流れを明確にしたので、それに沿って淡々と制作していくだけでした。想定より短時間で制作できました。
研修を実施している期間は忙しくて制作できないので、期末など比較的研修が少ない時期に制作するようにしています。
– 今後は研修VRを、どのように社内で展開していきたいですか?
フジテック様:
ここは研修センターなので、全国の拠点から研修生が集まり、エレベーターの実機を見て、実際に操作してもらう場所です。その体験をVR化して、様々な場所で現地での研修に近い体験をできないかと考えています。
以前は動画で同様のことを試してみたこともありますが、画角的に映らないような部分もありました。
VRではそれが実現できるのではと思っています。
– 東京の研修センターは近年新設されたとのことですが、他にも研修センターがあるのでしょうか?
フジテック様:
研修センター自体はここ東京と大阪の2か所あり、研修時にはどちらかに行く形になっています。
大阪にはあって東京にはない機種も、逆に東京にはあって大阪にはない機種もありますので、そういうときにVR を使って研修していくことも、今後は考えています。
– これからの展望をありがとうございました! ぜひ今後もサポートさせていただければ幸いです。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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