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【VR研修活用事例】空調機の販売・営業研修をe-Learningで 「まるで現場にいるような」VR資料で満足度9割超の高評価|ダイキン工業株式会社


ダイキン工業株式会社は、主にエアコンなどの空調機を取り扱う電機メーカーです。


1924年の創業から100周年を迎え「世界をリードする技術で、社会に貢献する」を経営理念の一つとして掲げ、世界中の空気と環境を考える企業として日々、事業を展開しています。


今回は、ダイキン工業株式会社 研修部の明路様と宮村様にお話を伺いました。



目的 空調講習会の講座内での教材として活用(e-learning/集合研修)
用途 研修VRコンテンツ作成、編集(静止画)
業種 製造業


会社名 ダイキン工業株式会社
所在地 大阪市北区梅田1-13-1 大阪梅田ツインタワーズ・サウス(本社)
事業内容 空調・冷凍機、化学、油機、特機、電子システム
URL https://www.daikin.co.jp/
2024年度空調講習会紹介 https://www.daikin-training.com/



OJTで現場経験が積めなくなってきた中でのVR導入
実際の現場を学ぶ研修講座で「快適な空気」を顧客に提供


– 最初に、御社と部署のご紹介をお願いいたします。


ダイキン工業 明路様:
弊社は、住宅用及び業務用の空調機器の製造と販売を主に行っている企業です。2024年度で創業100周年を迎えます。
100年の間に技術を磨き、様々な事業を手がけてきましたし、現在もフッ素化学製品なども販売していますが、主力となっている商品は空調機器です。

左よりダイキン工業研修部の宮村様、明路様

私達の所属する研修部では、社内・社外向けに技術系の研修を提供しています。


空調機は他の電気機器とは違い、電気屋さんで購入して頂いて、そのまま持って帰ってもすぐに使えるわけではありません。家庭用であれば据付業者の方に購入者のご自宅を訪問して工事をして頂いたり、業務用の場合はビル建設時に機器の設置をして頂いたりと、工事が必要になります。
また、長く使って頂いている間に、調子が悪くなってしまったら、サービスエンジニアの方に現場で修理をして頂く必要があります。


こうした据え付けやサービスは主に社外の方に実施いただいており、研修部は、そういった据え付けやサービスの方法を学んでいただく場を提供しています。
この他にも営業向けやサービス向けの研修や、社内向けの研修も担っており、技術系研修を中心に行っています。


– VRを研修に取り入れていこうと思った経緯を是非お伺いしたいです。


ダイキン工業 宮村様:
導入に至った経緯としては、OJTで現場経験が積めなくなってきたという事情がありました。 コロナ禍で客先に行きづらくなった点や、人手不足で、昔のように現場で「先輩の背中を見て学ぶ」という技術伝承ができなくなった点があります。


空調機であれば目にする機会も多いと思いますが、空気や換気の概念は、教えられる人も学べる機会も限られてしまう。そこでVRを使って「疑似的なOJT体験」ができればと考えました。



– ありがとうございます。技術伝承のためのVR導入ということですね。


ダイキン工業 明路様:
弊社は空調機器のメーカーですが、テレビのコマーシャル等でも「空気で答えを出す会社」というキャッチフレーズを使っています。お客様には機器を購入して頂いているのですが、お客様が本当に必要としているのは「快適な空気」なんです。空調機器を替えても、お部屋全体の換気の状態が悪かったり空気の流れが適切でなかったりしたら、お客様が最終的に望む「快適な空気」を届けることは出来ません。


「快適な空気を提供する」という意識を持ったとき、例えば厨房だったら「ここに換気扇があり、ここに熱を発する厨房機器がありますので、この場所に空調機器を入れた方が、快適な空気を提供できますよ」といった説明ができなければなりません。空調機器のことだけを知っているだけでは限界があり、私たち研修部も「部屋に入ってどこをチェックするのか?」を研修や教育の中で教える必要があります。


昔はベテラン社員の現場で若手社員も学んでいましたが、コロナ禍以降、そうした機会が限られてしまうようになりました。より事業を加速していくために、効果的な研修を求める中で、御社のVRコンテンツが非常に有効ではないかと思い、採用させていただきました。



– 他にもVRや動画の研修サービスもある中で、スペースリーに決めていただいたポイントは何でしたか?


ダイキン工業 宮村様:
大きく分けて3点あります。


1点目は、現場に近いイメージで作れる点です。
今まで研修部の中でも安全教育などにCGのVRを一部導入していましたが、CGだと実感に欠ける、イメージが湧かないという意見もあり、スペースリーは実写で実際の現場環境に近いものを作れる点が良いと感じました。
通常動画も施工の作業を教えるような研修では、一部使っています。ただ、お客様の現場を見る業務になると、通常動画ですと視野を狭めてしまうというデメリットがあり、全体を俯瞰して見ることができるVRの方が良いと感じました。


画面を回して部屋全体のポイントを確認できるVR(実際の研修コンテンツの画面)

2点目は、LMSの学習管理のシステムと連携できる点です。
現在弊社で使っているシステムがスペースリーさんと連携できるということで、それもポイントでした。


3点目は、実際の作り込みの部分ですね。
先ほどお話ししたCGの場合だと、少しの変更や修正で費用が発生してしまうので、自分たちで編集や作成ができるスペースリーを評価しました。



ダイキン工業 明路様:
VRはゴーグルをつけるということで大がかりな印象を持っていましたが、スペースリーさんはPC等のウェブブラウザでも閲覧できるという点が良いと思いました。
また一番驚いたのは、コンテンツ作りが簡単にできる点。制作ツールやガイドラインが充実している。想定していたよりも簡単にVRコンテンツができたことに驚きました。



通常立ち入れない場所の教育も実現!
研修生からも満足度9割超の高評価


– 企画制作から活用までの流れを教えてください。


ダイキン工業 宮村様:
最初にVRコンテンツを作った時は、私が中心で作成しましたが、現在は他にも5名ほど作成を手伝ってくれる社員がおります。


現在研修部で実施している研修は、大きく分けて、営業・販売と、実際の施工、サービス・メンテナンス・修理の分野があって、その中から作成したいコンテンツを選定、教材を作成して、できあがったものを集合教育やe-learning教材の中で活用しています。


研修コースの案内

– もともとある講座をVR化されているのでしょうか?


ダイキン工業 宮村様:
今回メインで作成したのは新規の講座で、その中にVR教材を取り入れました。講座は全部で87コースあり、現在も増え続けています。
他にも既存の講座で、アプライド(大型空調)の空調基礎講座があるのですが、今まで座学は紙ベースの資料で説明していたものを一部VR化しました。



ダイキン工業 明路様:
アプライドは、空調業界では大型の空調を指します。ビルの屋上に大きな空調機器が並んでいて、各お部屋にダクトで繋がっているような構造です。
アプライドは実物を見ての研修がなかなかできないので、集合研修でもイラストや写真を見せる流れでした。


しかし、スペースリーさんのVRコンテンツを使えば、立体的に機器を見ることができ、配管経路やダクト配置など見えない部分のイメージもしやすくわかりやすい。今までやりたくてもできなかった研修が、スペースリーさんの技術を使ってできるようになりました。
これからも活用の幅が広がっていくと期待しています。


VR教材を取り入れた講座の案内(2024年度空調講習会ごあんない資料より抜粋)
アプライド(大型空調)空調基礎講座のVRコンテンツ

– 研修生からのVRについての反応や感想はいかがでしたか?


ダイキン工業 宮村様:
「現場に行っているような感覚があった」「すごく感動した」というような感想がありました。


お客様先に行ったことがない方も、「実際にいるような感覚」で、現場でどういう風に使われてるかを見える点が良かったようです。事前下見のような感覚で頭に入ってきやすかった、と。


– 良好なフィードバックをいただけているようで良かったです。


ダイキン工業 宮村様:
概ねは「非常に分かりやすい」「興味を持った」「もっと活用して、VR講座が増えたらいい」というような感想が多いですね。



ダイキン工業 明路様:
私の感想としては、部屋全体のどこを見ているかわかりやすい。操作性も良く、VRサービスとしてうまく作られているなという印象を受けました。


– VRを導入したことによる定量的な効果などがあれば教えてください。


ダイキン工業 宮村様:
今回、新しくVRコンテンツを作っていることもあって、ビフォーアフターで比較できるものはありません。
ただ、社内的にトライアル研修にて入社1年〜10年目まで幅広い方に受講してもらったアンケート結果では、満足度9割超えの高評価を得ることができました。


VRを導入した応用コースではベテランや年数が上の人でも高い評価が得られましたので、効果があったのではないかと感じています。
もちろん、VRだけの影響だとは言えませんが…。



海外の社員向け教育への展開も視野に
今後も様々な講座でVRを活用


– 講座のアピールポイントがありましたら、お聞かせいただければ幸いです。


ダイキン工業 宮村様:
今までの営業・販売系の講座では、実際の物を使って学ぶよりも計算など机上で行う内容が多い傾向にありました。


今回のeラーニング講座では、スキルの獲得や知識の習得をより良くするためにVRで体験型教材を用意し、現場を疑似体験しながら学習できる環境を整え、講座を増やしました。


屋根裏の空調機構造等を学ぶVRコンテンツ

ダイキン工業 明路様:
弊社では研修に力をいれていて、現物を触らないと伝わりにくいという考えから、研修所で現物に触れられる研修を提供してきました。据え付けやサービス・メンテナンスの研修は、実際に機械を用意して集合研修で学ぶという形で提供しています。


一方で、営業・販売教育になると、お客様の現場に一緒に行くなどがなかなかできないという課題がありました。


お客様の空間、例えば厨房や病院など、そうした場所にはなかなか訪問できず、研修所に環境を再現するのも難しい。 それに近い状況を再現することができているのが、VRを活用した講座の特徴です。


厨房の空調や換気を学ぶ実際のVRコンテンツ

– VR制作で苦労したポイントはありますか?


ダイキン工業 宮村様:
一番苦労したのは最初の「何を作るのか?」という企画の部分ですね。
サービスの方、営業の方に現場での不具合事例等を聞き取りして、「どういった内容が多いのか」「どんなふうに課題を解決して現場で対応するのか」を把握し、それを教材につなげる部分が一番苦労しました。



– 今後はVRをどのように活用されるか、もし計画されてることがあれば教えてください。


ダイキン工業 宮村様:
営業・販売研修等、現場を見ることができるコンテンツを今後も作成していきたいと思っています。
他にも、据付作業をVR動画にする等、安全教育などの部分で効果的に活用できるところがないか、模索しております。



ダイキン工業 明路様:
VRの活用が目的にならないようには、注意したいと思っています。
新しい技術を利用した手段が目的に転換されてしまうこともあると思うので、そこに注意しつつ、よりわかりやすく短時間で効果的に知識を得てもらう研修を、今後計画していきたいです。



– 今後、スペースリーに期待される機能や開発要望があれば教えてください。


ダイキン工業 宮村様:
現在、海外の社内向けを対象とした研修も行っています。スペースリーの操作画面は一部細かい部分が多言語対応されていないので、そこを改善いただけたら、海外展開に向けてより検討しやすくなるかなと思いました。



ダイキン工業 明路様:
文字によらず、デザインだけで操作が分かるようなピクトグラムになるなど、そうしたアップデートがあるとよりグローバルに使いやすいと思います。
ダイキン工業の売り上げの約80%が海外で社員数も世界中に約十万人いますので、海外の方への社内教育の展開が今後、必要になると感じています。



– 既に海外向けに展開されている企業様もいらっしゃいますので、弊社内で検討させていただきます。貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!



最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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