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製造業

【VR研修活用事例】VR研修で作業手戻り90%削減、年間180時間の教育コスト削減|株式会社小糸製作所


小糸製作所は創業100年以上の歴史を持ち、主に自動車照明器具を開発製造する大手製造会社として知られています。「世界を照らす 新たな挑戦」を企業スローガンに、日本の技術製造力を底支えしています。


本日は、小糸製作所の技術管理部 技術ICTグループの藤田さんにお話を伺いました



目的 教育・研修の習熟度アップ、業務効率アップ
用途 研修VRコンテンツ編集(動画/静止画)
業種 製造業


会社名 株式会社小糸製作所
所在地 東京都港区高輪四丁目8番3号(本社)
事業内容 自動車照明器・航空機部品、電子装置・部品等の製造・販売
規模感 自動車照明器・航空機部品、電子装置・部品等の製造・販売
URL https://www.koito.co.jp/



作業手順を覚えるのにピッタリなスペースリーの研修VR


– 今回はインタビューをご快諾いただき、ありがとうございます。まずは御社のご紹介をお願いいたします。


私ども小糸製作所は、主に自動車のランプを開発している会社です。


私の所属する部署は、技術管理部 技術ICTグループという部署で、自動車ランプの設計やその他部品表の管理などを効率的に行うためのツール提供を行っている部署です。


その中で教育研修のために、VRコンテンツを活用させていただいています。


左から 技術ICTグループの藤田さん、山口さん

– VRの導入を検討した経緯を教えていただけますか?


VR導入に関しては、私の上司が『静岡テックビート』という技術系の展示会に参加したことがきっかけです。
その時期、社内でもマニュアルなどを紙ベースよりも見やすい・覚えやすいものに変えたいという意向があって、その中でVRを知って、導入を検討し始めました。


御社から説明を受けて色々触っていく中で、拡張性もあるし研修に特化した機能もあって使い勝手もいい。


社内でもレビューやデモを行った結果、高評価だったため、トライアルを始めさせていただきました。


– 他社のVRも多数ある中で、スペースリーに決めていただいた決め手は何でしたか?


やはり教育目的に使いたいという理由が最初にあったので「研修に特化したVR」という部分が大きかったです。


VRコンテンツ内のチェックポイントを順番に見ていかないと先に進めないという機能がありますが、弊社の主な事業であるランプの組立作業においては「どの部品をどの順番で取っていくか」ということが、手戻りを起こさない上で非常に重要です。
そのため、VR空間のなかで順番を意識して作業を覚えられる機能はすごく相性が良かったです。


VRコンテンツにより、作業手戻り90%削減! 教育コストも180時間カットに成功!


– 現在はどういったVRコンテンツを制作していて、どのように活用されているのかをお伺いしたく思います。


導入してから一番最初に、輝度計の操作方法の研修VRコンテンツを作成しました。
輝度計で測定を行う設計者全員に対してVRコンテンツを展開しており、必ず利用前に見てもらうようにしています。


もともと輝度計の利用方法に関する研修は集合教育で行っており、新人が入社する度に暗室に10名ほど集めて、その都度測定方法を教えていました。
しかし、集合研修は全員を現場に集めないと教えることができないという課題があります。


その点、VR研修はいつでも体験することができますし、コンテンツを見返すことによっていつでも復習できる。課題点だったことが解決したのです。


– 実際に研修の効率化になっているという実績が出ているのでしょうか?


輝度計のVRコンテンツを活用することによって、だいたい年間180時間ほどの工数削減ができている計算です。


年間約50人に集合研修していたので、一人頭3時間×10名×5組=150時間、講師2名の教育対応時間も無くなり、計180時間の削減効果ですね。実際、VR研修を始めてから輝度計を使った操作に対しての習熟度がすごく上がって、作業の手戻りが激減しました。


VR研修の方が、作業の順番など視覚的に分かるので、紙のマニュアルより遥かにわかりやすいという意見も出ています。導入して良かった、と思いましたね。



– 輝度計のVRコンテンツを拝見しましたが、高さや傾きもきちんと設定せねばならず、計器以外の操作もたくさんあって複雑ですよね。以前の研修方法では、そういった作業でエラーが発生しやすかったということでしょうか。


そうですね。部屋全体を見回す作業になるので、VRで目線を360度動かして、順番を加味してチェックできるという機能が教育特性上大きな意味を持ちます。


現在は、ウェブテストとVRコンテンツを合体させた運用をしており、VRコンテンツを見終わったらウェブテストを受講してもらい、合格した人にだけ輝度計を貸し出すという運用ルールにしています。
そうすることによって、確実に習得できた人だけが使えるようにし、集合研修も無くすことが出来、非人力化を実現しました。


– 輝度計以外では、どのようなコンテンツを活用していますか?


昨年(2020年)の大卒社員の新人研修では、自動車のランプ組立の基礎教育に関するVRコンテンツを制作し、VR研修を実施しました。


これまでは実際に現場に行って、実際の製品を使って研修を行うのですが、昨年は実地研修を行った後、復習用としてiPadでVRコンテンツを体験してもらいました。
その結果、受講した新入社員のほとんどから「実技訓練の復習として十分に活用できる」「有効だった」という回答がありました。


社員が実際にブラウザ上でVR研修を受ける様子

昨年度は急なコロナ禍対応でトライアル的な形で研修を実施しましたが、昨年度の評価も良かったので実地研修をどこまでVRで代替・補完できるのかというのを、効果計測とともに検討していきたいと思います。


ショールームVR」など研修以外のVR活用も検討中 IP利用制限機能でセキュリティ面も安心


– 研修コンテンツ以外にも、スペースリーで活用されているコンテンツなどはありますか?


研修コンテンツ以外ですと、弊社の新製品展示室というショールームを撮影したコンテンツがあります。


弊社の新しい技術をお客様やお取引先にPRするために展示するという場所なのですが、コロナの影響で立ち入りが難しくなってしまいました。
そこで、VR内見のような形でショールームをVR化して、置いてあるモックごとにどう動くのかを動画や資料を差し込んで説明したコンテンツを作りました。


– 弊社も古河電工様との取組でショールームのVRを先日公開させていただきましたが、製造業もコロナ禍によって展示会や往訪が減ったり、影響が出ていると聞いています。


はい。技術の視察という観点からも、完全に展示会や往訪をなくすわけにはいかないため、対外的に技術をPRする場としてVRコンテンツを作って欲しいと、担当部署からも要望がありました。


現時点ではまだプロトタイプという段階ですが、今後は、コンテンツ内容を更にブラッシュアップして、リクルート活動や得意先へのPR活動に活用していく予定です。


また、最近、スペースリーにコンテンツを閲覧する時などにIPアドレスによって利用を制限することのできる機能が追加されました。その機能が実装されたことによって、他の社員が社外でもセキュリティ面で安心してコンテンツにアクセスすることができるようになりました。


本来、社外秘の技術が映っているコンテンツなので、他の端末からのアクセスを拒否できるIP利用制限は無くてはならない機能です。
社内の各部署への提案段階でも、IP利用制限があるかないかはかなり大きいポイントだったと思います。


ショールームVRに関しても、IP利用制限がなかった頃はセキュリティ面のため“社内でしか活用できないコンテンツ”でした。機能が実装されたことによって、社員のPCから得意先にPRするという使い方も想定できるようになり、とてもありがたいです。


– ショールームVRを使ったPR活動については、コロナ禍で注目度も上がっています。


PRという観点ではウェブカタログなどもありますが、ウェブカタログだと全ての製品が並列に並んでいて実際のサイズ感も分からないため、お客様やお取引先への興味付けが難しいのが課題です。


ショールームのVRコンテンツのメリットは「より実際の製品に近いものが見せられる」ことだと思っています。弊社の自動車ランプは「見栄えを売る商品」でもあるので、VRのように視認性の高い方法で視聴者にインパクトを与えるのが重要になります。


担当部署からは、可能な限り現実の展示会に近いVR空間を作りたいという話が上がっており、そのあたりは是非、スペースリーさんにも協力していただいて良いコンテンツを作成できればと思います。


– ありがとうございます。ぜひ、ご協力させてください! 今後、VRコンテンツをどんなものに利用していきたいといった展望はありますか?


実は先日、設計部署を対象として、VRの活用案を公募してみました。 豊田市に新しくできた支店をVRで撮影する、ボール盤(旋盤機器)の操作方法の研修VR、弊社の装置を集約している技術センターという場所で操作方法についてのVR撮影など、たくさんのアイディアが出ています。


本社以外にも、技術センターや工場など様々な拠点での活用が予定されている

また、動画コンテンツにも興味がありますね。工場の実際の作業ライン全体を360度動画に撮影したいという希望があり、研修コンテンツとして実際に作成する予定を立てています。


ランプを作るときのプラスチック型は、何度も打っていくと摩耗していくものなので、その保守保全のやり方をVRコンテンツ化したいです。


設計の担当者は、製品がどのように作られているのかを知っておかなければいけません。そのため、作業ラインのVR動画は、設計者たちに対して製品の製造過程を知ってもらうための教育にも使えるコンテンツになります。


コロナの影響で現場と設計部署との関わりが薄くなってしまっている現在こそ、活用できるコンテンツになるはずだと思っています。


– 素敵なビジョンをありがとうございました!



最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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